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自前の飛行機づくりに挑戦・4



   

●フライトモデルの修正とASC

【コメント】

 自前のJu EF128が飛ぶようになったとはいえ、車輪は出し入れできず、翼も動かないのは見た目も悪い。その上、フライトモデルもまだまだ借り物。 というのも、aeromaticは入力したデータから、フライトモデルを作成してはくれるのですが、入力項目は限定的で、標準的な機体形状を基にして推測したとりあえずのフライトモデルにとどまり、機体のデータからさらなる修正をはかる必要があるのです。ましてやJu EF128が無尾翼機であり水平尾翼の無いことまで想定しているはずもありません。

 フライトモデルの修正、チューニングは、見た目の悪さの解消とともに進めて行くことにしようと、まず車輪の設置座標の指定と脚の出し入れから手をつけることにしました。
 次ぎに手をつけるべきは、機体に水平尾翼がないのにフライトモデルファイルに記述があればおかしく思われそうなので、やはり尾翼の扱いでしょう。あわせて昇降舵がつくべき水平尾翼がない以上、機首上げ・機首下げをどうするかの解決も迫られます。

 さらに、JSBSimのフライトモデルの記述では、<wing_incidence>タグ、主翼の取り付け角度とか、<mass_balance>タグでの機体の慣性モーメントだとか、何を調べればわかるんだよ、というようなものがあります。わからなければとばすにかぎるようです。とりあえず、<propulsion>タグ、エンジン部分はとばしました。<Flight_control>タグ、揚力、抗力などの空力データも、さっぱりわからずパス。設計図だけの機体は、不明な部分が多く、ごまかして済ませられます(^_^?)。

 ここまでくれば、おおよそ格好はつきます。それにしても、フライトモデルの修正、チューニングは、むずかしくよくわかりません。不足な点、誤りは、FlightGearの日本のサイトにTatさんが書かれていた「T-4製作記」などが詳しいですのでそちらをご覧ください。特に紹介されていたAircraft Super Calculator(ASC)は、数値計算に役立ちました(ASCをダウンロードしたのはhttp://www.geistware.com/rcmodeling/cg_super_calc.htmからでしたが、現在はhttp://chrusion.com/BJ7/SuperCalc7.htmlに移転しています)。

【実際】

〔車輪設置座標の指定と脚の出し入れ〕

 車輪の接地座標を、地面から浮かずまた地面にめり込まないように、ほどよい値を与えなければなりません。z軸の方向の値は、数回FlightGearを起動することでおおよそこれを定めました。
 ところが、着陸時には車輪が地面にめり込んでしまいます。x軸、y軸方向の値が3Dモデルと一致していないから生じたのか、そこが問題でもなさそうな気がしますが。
 車輪の接地座標のx軸、y軸方向の値は何を基準に決めるのでしょう。y軸は機体の前後を貫く中心線からの値でよいでしょうが、x軸方向がにわかにわかりづらいです。aeromaticでフライトモデルファイルを自動生成する際には、前輪式、尾輪式の違いが生じたりすることを懸念して、機体のタイプはマッハ数からすれば一つ上のクラスであるSingle-engine Transonic or Supersonic Fighterを指定しました。生成したフライトモデルでも、あきらかにNOSEと書いてあり、前輪の数値は後輪より少なく、中心座標や主翼の空力中心位置などとは違って、機体先端からのように思われるのですが(注参照)。
 与えるべき数値はメートルなのかフィートなのか? どうやらインチのよう。
 ところが数値を与え終えてFlightGearの起動をしたところ、空が見えたり画面が赤くなったり、そのうちFlightGearが落ちてしまいます。どうもy軸まわりを高速回転しているようなので、機体の重心位置を変更してみました。重心を前に持ってくることで、なんとかおさまりましたが・・・(前に持ってき過ぎると前輪が地面にめり込みます)。
 どうやらというところで、次は脚の出し入れのアニメーション(フライトモデルというよりもっぱら3Dモデル設定ファイルの関係)。
 後輪を格納するのに脚同士ぶつからないようにするのに苦労しましたが、見えないところなのでよしとしても、四苦八苦したのが湾曲した前輪カバーの開閉。まだ多少不十分なところがありますが、元々3Dモデルが雑で見苦しいのだから、頑張ったところであまり見栄えが変わるわけでもなく、妥協しましょう。

〔尾翼の扱いとASCを用いた空力中心とTail Areaの計算〕

ASC

↑ASCに当該機体のデータを入力

ASC

↑グレー部分に掲載の数式が計算されるということなのでしょう

ASC

↑計算の結果がページ下部に表示されます

ASC

↑同上

 水平尾翼がないことは、不器用者には3DCGが手抜きできて助かったのですが、フライトモデルではどう扱ったらいいものなのでしょうか? 加えて、昇降舵のつくべき水平尾翼がないのであれば、昇降舵の代わりを何が果たしているのでしょうか? そこが問題です。
 まずは、<metrics>タグ中の、<htailarea>タグと<htailarm>タグをコメントアウトするか削除してみましょう。どちらも特に変わったことは起きません。それでいいのかはなはだ心許ないことですが、水平尾翼がない以上、せめてコメントアウトしておくことにしました。
 <vtailarea>と<vtailarm>タグの扱いです。垂直尾翼を扱うものですから、何とかしなければなりません。のっけから空力中心などと素人には不明な言葉が出てきますが、翼全体で生じる揚力を模式的に一点で表すような概念なんでしょうか?
 とりあえず、「T-4製作記」に紹介のあったAircraft Super Calculator(ASC)を用いて、必要な数値を計算させてみることにしました<画像>。
 運のいいことに、Ju EF128の場合は垂直尾翼の形状が上下対称のようなので、水平尾翼として計算させて数値を求めてもよさそうです。
 「メートルしかわからないのに、フィートやインチとややこしい」、「翼端がまるまってる、どこを採寸すればいいんだ」などと、ぼやきながら入力、はたまた「ええい結果はどの数値をみればいいんだ」とぼやきつつ、なんとか必要数値を得ました。
 一番困ったのは、垂直尾翼は2つあること。Tail Areaの値をどのように扱えばよいやら。タグを二つもうけるのも変だし、とりあえず2枚分、倍の数値を書き込むことにしました。
 <metrics>タグはこれでよしとしても、水平尾翼がないために昇降舵もないというのに、フライトモデルファイルにはElevator Controlの文字がみられます。次はここをいじる必要がありそうですが‥・。

〔エルロンがエレベータの役割も担う〕

 航空機の主翼には揚力が働くとともに、回転させようとするモーメントも働くので、それによる墜落を避けるために水平尾翼を備えていると言われます。なら無尾翼機はなぜ飛べるのでしょう?
 翼断面の中心線(カンバーライン)が逆S字状になっている反転カンバー翼や翼全体に後退角を持たせ、翼幅中央から翼端にかけて翼弦を捻り下げた翼を持っているとか、よくわかりませんが、無尾翼機の主翼は、横方向にも長いが縦方向にも大きくしてあったりして、回転しにくくされているということのようです。
 フライトシミュレーターではそこのとところはどうしているのでしょうか?
 ちなみに、フライトモデルファイル中の<aerosurface_scale name="Elevator Control">タグや<aerosurface_scale name="elevator normalization">タグの部分をコメントアウトしてしまうと、もうまったく離陸できなくなります。  それでは、FlightGearに既存の無尾翼機はどうなっているのか調べてみましょう。全翼機であるHorten Ho-IXは、フライトモデルがYasimですが、やはり<control-input axis="/controls/flight/elevator"…などの文字が見受けられます。  Horten Ho-IXの3Dモデル設定ファイルを見ると、面白いことにエルロンに本来のエルロンの働きとともにエレベータの機能も与えられていることがわかります。  我がJunkers JuEF128もこれを見習うとしましょう。  なお、左右のエルロンにエレベータ機能を与えるのに、2つのタグを設けるべきと思われますが、まだまだフライトモデルもよく理解できていませんので、今回は左右分を1つでまかないました。

注記)現在、新しくダウンロードできるようにしている機体のファイルでは、Tatさんのチューニングを見習い、機体の各座標は3Dモデルの中心からの距離としています。

[2011/08/04][2012/12/01更新][2018/04/23刷新]

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